SF浦島太郎

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    「さあ、どうぞ」  海亀に言われるがまま、砂浜に打ち上げられたUFOへ、青年は乗り込む。  円盤の中は、がらんとした空間だった。ピカピカ光るパネルがたくさん壁際に並んでおり、青年は、子供の頃に見たSFドラマを思い出す。 「どう見ても宇宙船だよな、これ。『竜宮城』は宇宙にあるのかよ……」 「心配しないでください。あなたがた地球人が思っているより、宇宙は安全なところですから」  海亀は前ヒレで器用にパネルを操作しながら、青年の呟きに言葉を返した。  青年は周りを見回してから、不思議そうな顔で質問する。 「椅子もないみたいだが……。シートベルトで体を固定しなくて大丈夫なのか?」 「大丈夫です。すぐ着きますし、揺れもありませんからね」 「でも確か、宇宙へ飛び出す際には、すごいGってやつが体にかかるって……」 「ああ、地球の古典的な科学では、その方式なのですね。でも安心してください、私たちのは違いますから。ほら、何も感じないでしょう? もうとっくに宇宙空間なのに」 「えっ!」  青年は驚いて、再び船内に視線を走らせた。  だが窓もモニターもないため、外の様子は全く見えない。揺れどころか加速度も感じないため、宇宙船が動いていることすら、青年にはわからなかった。 「というより、そろそろ着きますよ。……ほら、到着です!」    
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