続・俺様01 やっと覚醒

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続・俺様01 やっと覚醒

 翌朝、カーテンの隙間からの日差しで、龍二の意識が浮上する。  自分の懐には、千鶴と龍希がぎゅうぎゅうに納まっていた。  そして今回も、長い長い夢から漸く目覚め、ほっと安堵していると、  千鶴の意識が浮上してきた。 「………ん、りゅうじさん?」 「おはよ、千鶴。まだ早い。寝てろ」 「……おはようございます。何だか今日は、疲れる夢を見てました…」 「そうか。俺も散々な夢を見たよ」  そう言って、龍希の頬をむぎゅっと潰す。 「今回は、龍希に振り回された。文字通りな」 「ふふ、屋敷を引き回されましたからね?」 「今回も、千鶴は可愛い飼い主だったぞ?」 「龍二さんも、やっぱり凛々しい、そして美猫でした」  可愛く笑う千鶴を引き寄せて、龍二は触れるだけのキスをする。  そんな二人に圧し潰されて、龍希が目を覚ましてしまった。 「…………んー…」  もぞもぞと、千鶴の懐に縋る龍希を、  千鶴はそっと包み込む。 「ごめんね龍希。起こしたね…まだ早いから寝なさい」 「んー、ちー?」 「とともいるよ?」 「…………とと?」  眠そうに、瞼を擦りながら振り向く。 「龍希、起きたか?」 「うん。おはよーございます、とと」 「ああ、おはよう。今日は休みだ。天気も良いし、出掛けるか?」 「ほんと!? とと」  眠そうだった龍希が、久しぶりのお出掛けに飛び上がる。 「今日はどこに行きたい?龍希」 「あいっ!! ねこたん!!」  また猫か…。 「ふふ…龍二さん、龍希も同じ夢、見てたのでしょうね…」 「……分かった。千鶴、後藤に手配を頼んでくれ」 「はい。じゃあ龍希、後藤さんに『ねこたんに会いに行きたいです』って、お願いしに行こう」 「いくーっ」  千鶴は、ウキウキな龍希の手を取って、部屋を出て行った。  龍二は、部屋を出る前に拓海に電話を入れる。 「また猫だ。手配を」 "分かった。いつもの施設だな?" 「ああ。頼む」  龍二は、拓海にこれから行く保護猫施設に、  餌などの物資と、運営費としての寄付を手配させた。
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