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続・俺様02 家族の時間
諸々準備をして、千鶴と龍希は、龍二の運転で、
後藤の関わる保護猫施設にやって来た。
「これは社長、いつもご支援ありがとうございます」
「いえ。こちらこそ、いつも無理を言います。今日は、お世話になります」
施設長直々の出迎えに、龍二が挨拶をしていると、
その隣で龍希も、お行儀よく頭を下げる。
「こんにちは。きょうは、ねこたんに、あいにきました。おせわになります」
「まあまあ。ご丁寧に。ねこたんたちも、龍希くんに会うの、楽しみにしてたよ?」
そう言われ、龍希は満面の笑みを浮かべ、
「せんせい、くろねこたんに、あいたいです」
「黒猫くんね?分かりました。では、店舗の方にご準備してますので、一日ごゆっくり」
施設長のご厚意で、今日も一日、猫カフェは貸し切りだった。
「ちー、はやくっ」
「ちょっと待って。すみません。今日はありがとうございました」
龍希に引っ張られそうになりながら、千鶴もどうにか言葉を交わした。
「ちーってばーっ、はーやーくー!! ねこたん!!」
「千鶴、行け」
龍二に促され、千鶴は龍希に引き摺られながら、店に入っていった。
□◆□◆□◆□
店に入ると、たくさんの種類の成猫たちが、龍希の周りに集まってくる。
「きゃー、ねこたんが、いっぱーーいっ」
「龍希、ちょっと待って?」
千鶴は、龍希と向き合い、いくつか約束させようとするが、
龍希は猫との接し方を分かっているようだった。
「龍希、ねこたんたちはお話しできないから…」
「うん。だから、いたいいたい、しないよ」
「分かってるね、龍希。約束できる?」
「うん。やさしくするよ。ねこたんと、なかよくしたいもん」
はっきり約束した龍希の頭を、千鶴がそっと撫でる。
「ん。じゃあ、行っておいで。優しくするのよ?」
「はーい」
千鶴と約束した龍希は、くるっと振り向くと、
猫たちの海に飛び込んでいった。
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