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8年後
「はじめまして、わたくしは桜川高校に着任しました
二階堂菫です。よろしくお願いいたします」
壇上で礼をするとパチパチパチと拍手が上がります。
あれから8年後、わたくしは新任教師として
母校の桜川高校で働くことになりました。
わたくしが元の世界に戻ったとき、
わたくしはシャーペンを手にしてテキストと
向き合っていました。
どうやら、わたくしがあちらにいたときから
時の流れは止まっていたようです。
ラフィルに勉強は人生のどこかで役に立つ経験となると言われてからわたくしの
勉強の姿勢は変わりました。
毎日決まった時間に勉強するようになり
それをコツコツ３年間続けた結果
卒業する頃には学年１位となりました。
とても嬉しかったのを覚えていますわ。
ラフィルと出会ってからわたくしは教師になりたい
と思うようになりました。
ラフィルのような熱心に指導してくれて自分を
信頼してくれる先生に。
本当ですね、ラフィル。
あのときの経験が生かされてわたくしは
教師になりましたわ。
いつか会えたらわたくしの
この感謝の思いを
届けたい。
廊下を歩いているとドンっと誰かにぶつかりました。
「いってぇな」
聞き覚えのある声に顔を上げると
懐かしい人物がわたくしを見て微笑んでいました。
胸元には 斎藤ラフル
と名札がぶら下がっています。
「ラフィル…」
「言っただろ？勉強はどこかで役に立つって」
ニカッと笑うラフィル。
ラフィルは本物の先生だったのね。
わたくしは涙を浮かべ頷きます。
「ええ！ラフィル、わたくしに
勉強することで得るものを教えてくださって
ありがとうございます！あの経験があって
今がありますもの。これからも
先生同士、よろしくお願いいたしますわ！！」
元気よく言うとラフィルはフッと笑って
差し出したわたくしの手を握ったのでした。
（終わり）
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