勉強は人生の糧になる

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勉強は人生の糧になる

わたくしは勉強漬けの日々に嫌気がさしていました。 どうして、日本からやってきたわたくしが 異世界の賢者にならないといけませんの!? ここにはテレビもスマホもありません。 娯楽は本だけ。 本もいいですけれどテレビが見たいですわ……。 魔法の実践練習をしていたわたくしは 今日も雨を降らせることができず、 ラフィルに叱られていました。 そのとき、わたくしの中の 何かの糸がプツンと切れました。 「もう嫌ですわ」 「スミレ?」 「どうして無関係なわたくしが こんなことしないといけませんの!? わたくし、 もうお勉強なんてしたくありませんわ!!」 涙が次から次へと溢れ出ましたわ。 「大体、わたくしラフィルの言う通り バカなんですもの!高校でのテストだって いつもビリで、本当はお父様の会社の跡継ぎにも なりたくない。なのに」 嗚咽が溢れて悲しい気持ちが降り注ぎます。 「だから、どうしたってんだよ」 ラフィルが冷たく言い放ちます。 「いっいくらなんでも酷すぎではありませんか!?」 わたくしは立ち上がり声を上げました。 「いいか、お前は賢者…つまり賢い者としての 素質がある。だから召喚陣に選ばれたんだよ。 お前はやればできるって俺は信じてるよ。 よその世界からやってきて不安だとは思うが 勉強は人生の糧になる。 きっとこの経験もお前の人生で何か役に立つ。 跡継ぎになりたくない? ハッ。なりたくなけりゃならねけりゃ いいじゃねーか。型にはまらず 自分の道を進んでいけばいい。   だから、経験を積むためだと思って 世界を救済してくれないか?」 ラフィル…。 あなた、わたくしを信じてくださるのね。 何もできないわたくしを。 お嬢様のくせにバカだと コソコソと噂されていた わたくしを。 そしてわたくしの我儘も受け止めてくれる。 「ラフィル…あなたって人は最高の講師ですわね!」 涙を拭い笑顔を見せるとラフィルはフッと 笑みを見せました。
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