別れの日

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別れの日

翌日も雨が降り続いていました。 わたくしの魔法で雨は永遠に止む ことはないといいます。 聞けば、ここはもともと雨の世界だったといいます。 人々や動物、草木は毎日 雨が降らないと生きていけなかったと。 だから わたくしは人々に手を握られ 感謝の言葉を贈られました。 これほどまでに嬉しいと感じたことはなかったわ。 勉強っていいこともあるのね。 わたくしはそんな人々に笑顔を見せます。 「そんなに感謝されて嬉しいですわ。 わたくし、最初は何の力も持たない賢者でしたけれど 勉強することで皆さんを救えたことが 本当に嬉しいですわ。そして」 わたくしはラフィルを見て微笑みます。 「偉大なる師匠のおかげでもありますわ。 ありがとうございます。師匠。 勉強は人生の糧になる。 確かにその通りですわ。 いつかお会いすることがあるとしたら それを証明することができたときでしょう。 楽しみに待っていて下さいね!!」 わたくしは満面の笑みを浮かべるとラフィルは照れたようにそっぽを向きます。 だけどすぐにわたしをみつめて 「お前ならできる。そう信じてるぜ」と ニカッと笑いました。 わたくしも笑みを返すと足元の魔法陣が 光り輝きだしました。 「どうやら、時間のようですわね。 皆さん、お元気で!!」 わたくしは涙を流しながら手を振ります。 人々が名残惜しそうに手を振るなか ラフィルだけは手を振りませんでした。 ええ、分かっていますわ。 わたくしたちはまた会える。そう信じているから 手を振らないのですわよね。 わたくしはそんなラフィルに向かって 最高の笑顔を見せました。 そして、真っ白な光がわたくしを 包み込んだのでした。
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