あと一回、これで最後!

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 神の国、それは様々な神様が暮らす悠久の楽園。  穏やかに流れる時間、ここは苦しみも悲しみもない平和な国。  そんな夢のような国で、苛々とした様子で大きな声を張り上げる神様がおりました。 「あと一回、これで最後! だから次こそは必ずだ!」  手元の箱を覗き込みながら叫ぶ神様・ゲーを見て、他の神様達はこそこそと話し合います。 「またでた、ゲーの“あと一回”が。そう言ってこれが何度目になるんだか、呆れるぜ」 「なんなのあれ? ゲーは一体熱心に何をしているの?」 「うん? 知らないのか? あいつ、暇潰しにオモチャを作ったんだそうだ。だがいっつも勝手に壊れちまう。その度に“あと一回”と言って最初から作り直すんだけど……」 「何度作り直しても結局壊れるってオチね。それならもう諦めて別のオモチャを作ったらいいのに。……ああ、ゲーって凝り性だったわね」 「あいつは神の中でも特に変わっているからな。……おっ、見ろ。また“あと一回”だ」 「あらほんとう。それにしてもそのオモチャってどんなものなの? 神が作ったのに勝手に壊れちゃうなんて、相当ヤバい代物ね」 「ええと、何ていったかな? 確かあいつ、オモチャに名前をつけていたな。……ああ、そうだ! 思い出した、オモチャの名前は“地球”だ」  ゲーの持つ箱の中には青い球体が浮かんでいます。この球体こそゲーが“地球”と名付け、意地になって何度も何度も作り直しているオモチャです。 「あ、核戦争が始まった! 達が皆滅んでしまった。放射能まみれの“地球”には誰も住めない! やり直しだ! あと一回、これで最後! 次には必ず完璧な“地球”を作ってみせる!」  ギーは“地球”を両手で包み込み、優しい光で照らします。すると“地球”から放射能が消え、生物が生まれ、やがて人間が現れます。  しかし、時が経つと……。 「わぁ! 次は海面上昇だ! 地球温暖化が原因だな。これじゃあ人間や陸の生き物は溺れ死んでしまう。やり直しだ! あと一回、これが最後のチャンス! 次こそは成功させて、ぼくは別のオモチャを作るんだ!」  作り直して、また壊れて。ギーは何度も何度も「あと一回」と口にします。  果たしてギーは今まで何度“地球”を作り直したのでしょうか?   私達の住むこの青い惑星は何度目の“地球”なのでしょうか?  それはきっと神のみぞ知ることなのでしょう。 《終》
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