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 露ほども見えていなかった彼女の本心。  いま届けたかったのだろうか。絋哉に。  ──そうだよな。「届けたい」ならもっと勇気を出せばよかったんだ。俺も。 「待てよ、園部!」  一瞬の躊躇の末に美波を追い掛ける。 「えっと、俺、……全然気づかなくて──」 「ああ、通じたんだ。意外と鈍くないじゃん、桜木。──今無理に答え出さなくてもいいよ。だもんね」  彼女は笑みを浮かべて、紘哉の腕を軽く叩いて来た。  急かそうとはしないその態度に、正直なところ安堵する。 「ありがとう、園部。お前がいてくれて本当に良かった」  紘哉は心からの感謝を込めて告げた。  そのまま敢えて核心に触れない話をしながら、二人は大学最寄り駅前のショッピングビルへと向かう。  今はまだ、美波のことは友人だとしか思えなかった。けれど、決して嫌だとも迷惑だとも感じていないのも事実だ。  これからも互いに支え合いながら、もしかしたらどこかで何かが変わる未来もあるのかもしれない。                               ~END~
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