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「ほら、よく『なんとかの姫』ってあるじゃん? サークルとか学部とか」 「う、うん……?」  所謂『男の中に女の子一人』状態を指すのだろうが、続けられたその言葉からも美波の真意は不明なままだ。 「でも実際、少なくとも高校でそういうのないと思うんだよね。例えば桜木が高校の時、男子クラスに女子一人とか二人だったとしてその子のことチヤホヤしたりする?」 「……しねーよ」  仮定だとしてもあり得なさ過ぎて、声に呆れが滲んでしまう。 「でしょ? でも他のクラスの子たちにイヤミ言われたりしてたみたいだよ。まあそれはともかく、杏理はなかなか馴染めないってか他人の言葉の裏読みできないの気にしてるみたいだからさ。そんなの必要ないとあたしは思うけどね。ホントいい子だし」  美波が多少言葉を濁しながらもいろいろと説明してくれたことで、杏理が大学入学以前に周りの女子とうまくいかずに孤立していたらしいと初めて知った。  単に「可愛くて天然で、な愛されキャラ」くらいにしか感じていなかった己の無神経さが腹立たしい。
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