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侑奈が息も絶え絶えにシーツの上でぐったりしていると、隆文がクスッと笑った。その声に視線だけを向けると、彼が濡れた指を舐めていた。
「~~~~っ!」
ぬめりを帯びた指が糸を引いてテラテラと光っている。それを丁寧に舐め取りながら、侑奈を見下ろす隆文に、顔にボッと火がついた。
「やだ……信じられない。なんで舐めるんですか……」
涙目で隆文を睨みつけ止めようとした侑奈の手を、彼が掴んだ。その瞬間のギラついた目に息を詰める。
「た、たかふみ……? その目怖いです」
「そうか? 気をつけるから、もう少し頑張ろうな」
侑奈がそう言うと、隆文がニコッと微笑んだ。その笑顔が却って恐ろしい。
「やだ。その顔も怖いです」
「無茶苦茶なこと言うなよ。ほら、次は指を三本挿れるぞ」
「えっ!? 待っ……イッたばかり、だから……休ませ、て……はぅっ!」
隆文は侑奈の懇願を無視して、先ほどよりもたくさんの指を中に挿れてきた。
「んっ、ぁ……ひぅっ、っぅ」
こんなにもいっぱい挿れられて苦しいはずなのに達したばかりの体はいとも容易く隆文の指を受け入れた。
彼はまるで性行為を意識させるような動きで指を出し挿れし、奥を穿つ。内壁を擦り上げる動きに、体が跳ねるのが止まらなかった。
「あっ、あんっ……んぅ……も、もぅ、ふあぁっ」
いやいやと首を横に振ると、隆文は莞爾として覆い被さりながら胸の先端を舌でつついた。乳暈を円くなぞったあと、胸の先端を口の中に含み転がされる。
ぷっくりと立ち上がった先端を吸い上げられながら、膣内をぐちゃぐちゃにかき混ぜられていると、快感で頭がいっぱいになって縋るようにシーツを掴んだ。そのとき彼の指が最奥を抉るように動く。
「んあっ!!」
そしてとどめとばかりに親指で花芽を捏ね回してきた。胸の先端と敏感な花芽――膣内。性感すべてを責め立てられると目の前に火花が散る。
(これ……我慢できない。気持ちいい……。またきちゃう……)
「ふっ、んんっ……た、たかふみぃ……イッちゃ、イッちゃうのっ」
大きな快感がまた襲ってきて、侑奈は胸を舐めている隆文の髪をぎゅっと掴んだ。だが、勢いよく指を引き抜かれる。
「……っ!?」
「まだ駄目」
そう言った彼は嗜虐的に笑って体を起こした。もう少しでイケそうだった体は突然熱を取り上げられてガクガクと震えている。侑奈が呆けた顔で彼を見ると、その唇が弧を描いた。
(どうして……?)
「そんな顔するなよ。虐めたくなるだろ」
「隆文?」
「大丈夫。ちゃんとイカせてやるから。ほら、触りやすいように膝立てて脚を大きく開いて」
「え……」
回らない頭で隆文を見ていると、彼は「早くして」と言って花芽を指でピンと弾いた。
「はうっ」
「イキたいんだろ? じゃあ、早く自分で脚開けよ」
恥ずかしいのに嫌だと抵抗することができなかった。侑奈は隆文に命じられるままMの字に膝を立てて彼の前にすべてを晒した。全部が丸見えになって、羞恥心からきつく目を瞑る。
(恥ずかしい……こんなの、こんなの、嫌なのに……)
なのに、ドキドキしている自分がいる。隆文の視線を感じるたびに体が熱くなって、その熱に体がじわじわと呑み込まれそうになる。侑奈は自分の体をぎゅっと抱きしめた。
「可愛い。大好きだよ、侑奈。ずっとこうしたかった」
とろりとあふれた愛液を指ですくい取りながら隆文が笑う。彼の愛情表現は今に始まったことじゃないのに、胸がキュンとときめいた。
(私、どうしちゃったの……)
つい先ほどまで蕩かせられていたせいで、何かが麻痺しているのだろうか。
硬直して動けない侑奈の濡れた蜜口に、隆文は避妊具に包まれた鈴口を押しあてる。その熱を感じて体が震えると、覆い被さってきた隆文が「大丈夫」とキスをしてくれた。
今まで意地悪をことを命じて侑奈を追い詰めていた隆文が優しい目で見つめてくる。その落差に混乱した。
(私、変……)
以前なら意地悪な隆文が垣間見えたら怖くなって逃げたくなっただろうに、なぜか嫌じゃないのだ。優しい隆文も意地悪な隆文も、悪くないと思えてしまう。
「ん、んんぅ」
隆文は侑奈の口内に舌を差し込んできた。絡んでくる彼の舌が気持ちいい。すべてを奪うようなキスに溺れてしまいそうになったとき、隆文が愛液を纏わりつかせるように緩く屹立を上下させ、花弁を開いていった。
「あっ、あ……ふぅ、ぅっ」
「挿れるから力を抜けよ」
蜜口に硬い屹立をくぽっとはめて彼が囁く。
力を抜けと言われても、誰かさんのせいでもう力が入らない。
でも一応こくりと頷くと、隆文がもう一度唇を合わせて中に入ってきた。
「――っぅ!」
その瞬間、指とは段違いの熱が侑奈を貫く。
(痛っ……くない?)
大きな痛みを覚悟したのに思ったより痛くなくて拍子抜けだった。動揺しながら隆文を見る。
(いっぱい解してくれたから?)
「痛いよな……。ごめん」
「隆文が時間をかけてしてくれたから大丈夫です」
「ありがとう。侑奈が頑張ってくれてるから、ちゃんと入ったよ」
苦々しく笑いながら、ぎゅっと抱き締めてくれる。彼は侑奈が痩せ我慢をしていると思っているのだろうが、本当に平気なのだ。
隆文が上体を起こして「嗚呼、感動だ」と独り言ちた隙に、頭を少し持ち上げて繋がっているところを見る。秘裂に雄々しい陰茎が半分ほど突き刺さっていた。
「じゃあ動くから、耐えられなくなったら言えよ」
「はい……」
頷くと、隆文が唇に何度か優しいキスを落として緩慢に腰を動かしはじめた。深く唇が重なり合って、口の中に入ってくる彼の舌が侑奈の舌を搦めとる。
(キス、気持ちいい……)
舌を絡めあっている間も、彼はゆっくりと腰を揺する。熱い昂りに内壁を擦り上げられると、快感が大きくなってきた。
「侑奈、平気か? もう少しで全部入るぞ」
「あっ、あぁっ……、うん、ぜ、ぜんぶ、挿れてっ、はうぅ」
「馬鹿、煽るな」
「で、でも、き、気持ちいいのっ」
圧迫感や痛みがまったくないと言えば嘘になるが、快感のほうが数段勝っている。自分の中を穿つ甘くてあつい熱に溺れてしまいそうで、侑奈は隆文に抱き縋った。
「――っ!」
その瞬間、痺れるような感覚が体を貫く。大きく目を見開き、はくはくと息をした。
「全部入った。大丈夫か?」
圧迫感がすごい。みっちりと埋まっているのが分かる。
隆文がいたわるように頬を撫でてくれると、いっぱい濡れた膣内が蠕動して彼を締めつけてしまう。彼は優しげな笑みを浮かべ、花芽に愛液を塗りつけて捏ねながら腰を揺すった。
花芽を弄られると、そこから甘い痺れが広がっていく。
「っはぁ、あっ……ふぅ、っひゃ」
そのとき腰を動かしながら胸の先端を吸われて、体がビクンと跳ねた。
「んあっ、あっ……」
「やっぱり侑奈は胸を虐めるといい声で啼くな」
「あぁっ……それ、だめっ」
意地悪そうな目で見つめながら舌先で胸の先端を転がされると気持ちよすぎて困る。大きな快感がわずかにあった痛みすら呑み込んでいく。
「ひあっ、あ……隆文……っ」
「慣れてきたみたいだな」
「あ――っ!」
ニヤリと笑った瞬間、ギリギリまで引き抜かれて、一気に奥まで穿たれた。あまりの衝撃に、目を大きく見開いて掴んでいた隆文の腕に爪を立てる。
「やあっ、ふかいっ……」
「侑奈が言ったんだろ。全部挿れてって」
「あっ……そ、そうだけど……で、でも、あぁんっ……」
くつくつと笑いながら、胸の先端をつねられ腰がガクガクと震える。
(何これ、すごく気持ちいい……私初めてなのに……)
隆文が胸を嬲りながら小刻みに腰を揺すると、甘い痺れが全身を包み込むような感覚に陥った。
「侑奈、可愛い。もう痛みはなさそうだな」
「うんぅ、痛く、ないっ……けどっ……」
「痛くないなら、もう少し激しくしていい?」
「はうっ……ぅう、ふぁ……やっ、それやぁっ!」
吐息混じりに耳元で囁かれてズンッと奥を穿たれると、目の奥が明滅を繰り返した。
(もうやだ……気持ちよすぎておかしい……)
「待っ、変……気持ちよすぎるの……私……」
「大丈夫だから怖がらなくていい」
隆文は腰を揺すりながら、いやいやと小さく首を横に振っている侑奈の髪に指を差し込み、宥めるようにキスをしてきた。
上も下も彼でいっぱいになって頭がクラクラしてきて思考が定まらない。
「た、隆文……隆文……」
目を潤ませて彼にしがみつき何度も名前を呼ぶ。すると、突然腰の動きが速くなった。
「ひゃあっ、ぁあっ……たかふみぃ」
「侑奈。頼むから、俺だけのものになって。侑奈が満足するまで何度だって昔のことを謝るから……今まで傷つけた分以上に大切に愛するから……どうか俺を好きになってくれ」
「あっ、待って、イッちゃう……あっ、あぁ――っ!」
「侑奈っ、っぅ」
隆文が名前を呼びながら小さく呻いたと思った途端、体の奥で彼の屹立がびくびくと脈打つ。
隆文の悲鳴のような懇願に返事をしたかったが、もう思考がどろどろに溶けていて言葉が発せられなかった。彼にしがみついていた手がシーツの上に滑り落ちたところで、侑奈の意識がぷつりと切れる。
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