隆文が買ってきたお土産

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 その瞬間、また大きな快感が侑奈を襲う。思わず体が大きく跳ねて、仰け反った首筋に隆文がきつく吸いついた。先ほど落ち着いたと思った絶頂の波がぶり返して、今度こそ呑み込まれてしまうと震える手で隆文のシャツを強く掴むと、彼がまたローターの振動を緩くする。 (やだ……また……)  振動が弱まると、イキそうなのにイケない。だが、止めてくれないので緩やかな振動が花芽を苛み、完全に熱も引き切らないのだ。 「やだぁ……どうして、っ」 (確かに待ってとは言ったけど……こんなの……無理、もう体……変……)  隆文は侑奈がイキそうになると振動を弱めた。そして体の熱が少し落ち着いたところで、また振動を強くする。それを繰り返されると、体に熱と疼きが蓄積されていって、頭も体もおかしくなりそうだった。 「やあぁ……もぅ無理、変なのっ……ごめんなさっ、もうやだぁ……どうして、こんなひどいことするのっ」  侑奈は何度も泣きながらやめてと乞うた。もう顔は涙でグチャグチャだ。  体に溜まった熱が放出先を求めているのに、解放させてもらえない。徐々に抵抗する気持ちは失せ、イカせてほしいという望みで頭の中がいっぱいになっていった。  でも隆文は食べかけの夕食にクロッシュを被せ、愉快げに侑奈を見ているだけだ。 「どうして……というか、せっかく買ったんだから使いたいなって」 「……っ、で、でも……こんなの、ひどいっ」 「使うタイミングを間違っていることは分かってるけど、キスをしはじめたら我慢ができなくなったんだ。ごめんな、侑奈。もう少しだけ付き合ってよ」 「いやっ、も……やだぁ、意地悪しないでっ……ちゃんとイカせてよぉ」  いやいやと思いっきり首を横に振ると、隆文が「仕方ないな」と笑う。彼はローターのスイッチを止め、ショーツの中から取り出した。 「ぅあ……っ」  それだけでも体が震える。目に涙をいっぱい溜めて荒い呼吸を繰り返していると、隆文が侑奈のショーツを足から抜き取った。それはもう恥ずかしいほどにぐしょぐしょになっていたが、そんなことを気にしている余裕はもう侑奈にはなかった。 「イカせてほしいなら、ソファーの上で脚を開いてお願いしてみて」 「そ、そんな……」  隆文の意地悪な言葉に、涙があふれてくる。侑奈が嫌だと言っても、彼は嗜虐的に笑うだけだ。 「言わないとこのままだけど、それでもいいの? 俺は別にいいよ、侑奈が素直になれるまで付き合ってやるから」 「……っ!」  本気でそう思っていそうな彼の言葉に背筋に寒いものが走る。侑奈は泣きながら、命じられるままにソファーの座面に足を乗せ、彼の前にすべてをさらけだした。 「……隆文、お願いします。イカせて、ください……」  あまりの恥ずかしさにぎゅっと目を瞑る。すると、隆文が「いい子だな」と満足げに笑い、指で秘裂を撫で上げた。それから花弁に埋もれてひっそりと震える侑奈の花芽をピンと弾く。 「っ!」  反射的に脚を寄せ、手で彼の胸を押し返そうとしたが、逆に掴まれ後ろ手にまとめられる。彼は左手ひとつで容易く侑奈を動けなくし、敏感な花芽に愛液を塗りつけてひと撫でした。 「ひぅっ!!」  先ほどまでローターで散々嬲られていたそこは、その刺激すら毒だ。隆文は快感で震える侑奈を楽しげに観察しながら赤く充血した花芽を嬲りはじめた。強弱をつけながらクリクリと摘まんではねちっこく捏ね回す。  いつしかソファーに押し倒されていた侑奈は、腰をビクビク跳ねさせながら空気を求めてはくはくと息をした。  心臓が暴れて上手に呼吸ができない。花芽を触られるだけで、お腹の奥がズクズクして、体温がどんどん上がっていく。侑奈が限界を感じたとき、隆文の指が花芽をぐりっと押し潰した。 「ひゃぁああっ!?」  目の前に火花が散って、背中が弓なりにしなる。まるで電気を流されたような衝撃に、侑奈は目を見開いた。強すぎる快感に翻弄されて、泣きながら隆文に縋りつく。 「あっ、あ、あぁ……やあぁ、っ――!」  骨盤まわりの筋肉がリズミカルに痙攣し強い快感を生んだあと、一気に脱力する。侑奈は目を閉じ、肩で息をしながらぐったりとソファに体を沈ませた。そんな侑奈の頬に、そっとキスが落とされる。 「イッたな」  愉悦の笑みを浮かべながら侑奈の眦からあふれる涙を舐め取る隆文の頬に、侑奈は重たい手を持ち上げて触れた。 「……今の隆文は嫌いです」 「ごめん」  恨み言を漏らすと、隆文がすかさず謝ってくれる。だが、彼の本心を読み取ることができなくて侑奈はジッと彼の顔を見た。 (本当に悪いと思っているのかしら……)  隆文の性的嗜好には薄々気がついていた。隆文は侑奈を追い詰め、泣いて身悶えている姿に愉悦を感じているのだ。彼は侑奈を宝物のように大切に扱ってくれるが、ベッドの中では意地悪に侑奈を翻弄する。  それ自体は悪くはないが、侑奈にだって許容範囲というものがある。侑奈が不満げな表情をしていると、彼がバツの悪そうな顔で頬を掻く。 「ごめん。ちょっと意地悪が過ぎたよな? 最近の侑奈、俺に甘いから……そのうえ婚約だろ。つい調子乗っちゃったんだ」 「……嘘つき。誤魔化さないで、はっきり言えばいいじゃないですか。本当は玲子さんや同僚との話で婚約を決めたことを怒ってるって」  本来ならその場で返事をするのではなく、一度保留にして隆文と話し合ってから返事をするべきだった。大切なことなのに、隆文を放置して決めてしまったのだ。だからきっと彼のプライドを傷つけたのだろう。  だからと言って、こんな八つ当たりの仕方は酷いけれど―― 「嘘なんてついてない。正直、俺だけだとこんなに早く侑奈を頷かせられなかっただろうし、むしろ有り難いと思ってるよ」 「で、でも……」 「侑奈、俺はどんな惨めな姿を晒したとしても君が俺のものになってくれるなら別に構わないよ。そんなことでヘソを曲げたりしない」 「じゃあ、どうしてあんなこと……」  隆文の真剣な物言いに混乱する。  侑奈が揺れる目で彼を見ていると、彼が「えっと……」と言い淀む。 「私に言えないことなんですか?」 「そうじゃなくて……。実は俺……侑奈とこういう大人の玩具を使いたい願望が少なからずあって……だから、婚約OKしてくれたって聞いて、今日なら勢いで許されるんじゃないかって思ったんだ」  そう言って苦笑いする隆文に、侑奈はポカンと口を開ける。彼のせいで体の熱がどこかにいってしまいそうだ。 「馬鹿じゃないの……。そういうことは使う前に相談して許可を得なさいよ」 「ごもっともだ。これからはそうするよ、飯の邪魔して悪かった」 「はぁ~っ、もう疲れた。私なりに色々考えたのに……隆文の馬鹿」 「ごめん……。呆れられてるついでに聞くけど、これからも玩具使っていい?」  甘えるような目で見てくる隆文に、ゲンナリした視線を向ける。侑奈は大きな溜息をついて首を横に振った。 「それ、気持ちいいけど……無理矢理気持ちよくさせられている感じがして、好きになれないです。私は道具なんて使わないで、直接隆文と触れ合うほうが好きだし気持ちいいです」 「そっか……」  嬉しいような残念なような複雑な表情をしている隆文に、侑奈も複雑な心持ちになった。心なしか胸が痛む。 (言い過ぎたかしら……) 「俺と触れ合うのを好きだって言ってくれて、すごく嬉しいけど……好きになれないならもう使えないな……。これは捨てるよ」 「……っ。うう、分かりました。分かったから、そんな顔をしないで!」 「え……」 「買ったばかりで捨てるのはもったいないですし……もし今後私が間違ったことをして隆文を傷つけてしまったときには……使っていいですよ。だからそのときのために残しておいてください」  ショボンとした隆文がなんだか可哀想になって、つい妥協案を出してしまう。やはり隆文の言うとおり、侑奈は彼に甘くなったのだと思う。 「それってお仕置きに使っていいってこと?」 「……はい。で、でも、私が何かやらかしたときだけですよ」 「分かってる。むしろお仕置きで使えるとか最高だ。ありがとう、侑奈」  少年のような屈託のない顔で笑う隆文に苦々しく笑う。 (まあ……隆文を傷つけるような失敗をやらかすことなんてないから別に置いておくくらいいいわよね)  そんな日は絶対に来ない。  侑奈はそう考えながら、空気を変えるためにパチンと手を叩いた。 「さあ、早く食べてしまいましょう」 「ああ。そうだな」 「早く食べて……仲直りのエッチをしましょう。次は優しくしてください」  侑奈が頬を染めて、ややぶっきらぼうにそう言うと、隆文がごくりと喉を鳴らして「ああ」と頷いた。
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