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道を歩いていたら、車道を救急車が走り抜けていった。
ああ、ダメだ。あれに乗っている人は助からない。
そう思ったのは、灯ったランプの色が紫に見えたからだ。
パトカー、救急車、消防車。もうかなり前から俺には、この三台の車のランプの色がいつもの赤と違って見える時がある。
救急車は紫、パトカーは黒、そして消防車は、赤が通常より遥かに濃い紅に。
紫の救急車は運ばれた人が助からず、黒のパトカーは犯罪を殿こぼす。そして紅の消防車は、火事場で必ず死人が出る。
はっきりと確かめた訳じゃない。でもどうしてかそれが判るし、時にはニュースなどで、俺の予想通りの結果になったことが判ることもあった。
いったいこの能力は何なのだろう。判らず、ただ色が変わって見えることを受け入れている。
そう、本当に自分自身、見えたからどうしていいのかなんて判らないんだ。だから、あれもやっぱり見過ごすしかない。
時々見かける、地域のことも達の様子を窺う『見守り隊』と書かれた車。それのランプは青色なのだが、今日は白い光に変わっていた。
救急車の紫は、チアノーゼ反応とかで、人の容態が悪くなると顔色とかが紫になる、という意味だろう。
パトカーの黒はまさに黒星。犯人を取り逃がす証拠で、消防車の紅は、炎の勢いがこの上なく増しているということだろうと予測できる。
でも、子供を見守る車のランプが、青から白に変わるというのはどういうことだ?
どうして自分がこんな力を持ってしまったのか、それ以上に、今は、あのランプの色の意味を知りたい。
ランプの色…完
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