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父は間違いなく、死んだのだ。この世にはいない。でも何故か僕の中に感じられる。生とは何だろう? 死とは何だろう? 僕の存在とは? 父が若い頃は立派な医師として活躍していた。それに比べて、僕は何の役にもたっていない。誰かのために生きているのだろうか? 自分の欲望を満たすだけに過ぎない。もう一つ父と異なることは僕には愛する人がいない。僕はまぎれもなく父と亡くなった母の子供だけど、そもそも、父は母を愛していたのだろうか?
僕は会社から特別に、しばらく休みをもらい、父が活躍していた東京に行くことを決意した。父が歩んだ道を探せば、おのずと生きている意味がわかるのではないか? そう思った。解決はしないかもしれないのかもしれないけど、せめて、きっかけくらいは掴めるのではないかと思ったからだ。那覇空港から青く透き通る海を背景にして、僕は父が活躍した東京へ向かった。果たして何が待っているのだろうか?
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