3、中学2年男子と女子

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前で止まっている悪い奴の1人が大声で叫んだ。 「太田さ〜ん。こっちに来てよ」 佳代子は驚いて「なに?さち、あいつらと何かあるの?」とさちに詰め寄った。 「なにもない。でも、あっちには行きたくない」 さちの頭の中は、私が剛史のことが好きなのはバレてるから、他の悪いヤツたちに揶揄われる……この考えしか浮かばなかった。 雨の中、傘を差して、長い時間さちは佳代子と動かなかった。1時間くらい佳代子とさちは道の途中で立ち尽くしていた。悪い奴たちがこっちに来たらどうしようと思いながら、雨の中を突っ立っていた。悪い奴たちの方が先に行ってしまった。そして、ようやく佳代子とさちも歩き始めた。  それから2週間後、剛史に彼女ができたと聞いた。  さちは少しショックだった。剛史の彼女はお似合いの悪い子で、ムーというニックネームのふくよかな女の子だった。ずっとコンプレックスを抱いていた自分の容姿も問題にはならないんだと分かった。  彼女ができても、さちは剛史が好きだったし、剛史を見るとドキンとした。それでも近くには寄れなかった。勿論、話すこともなかった。
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