1、小学生女子

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1、小学生女子

 さちは、12歳だった。 小学生のさちには、好きな男の子がいた。生まれて初めて心臓が掴まれるような鼓動をその男の子に感じたのだ。  それは、6年生の時だった。そのドキンの相手は、6年生で背が165センチを超えていた。 頭が良くて、顔も整っていた。運動もできた。だから、その子はとてもモテた。 クラスの女の子の殆どが、その子を好きだったんじゃないかと、さちは思っていた。 同じ小学校の子達は、みんな同じ中学に行く。中学のクラスは7クラスもあった。同じクラスには、もうなれないなと諦めていた。 その男の子、剛史には好きな女の子がいた。剛史を見ていたら、さちには分かった。 クラスで一番綺麗な女の子、マツと呼ばれる子だった。 綺麗な子は良いなと、さちは思った。 さちは、一重瞼で「お雛様」と呼ばれる顔立ちをしていた。全然可愛くない。むしろブスなのは、さちが一番良く分かっていた。 背は160センチ以上あった。小さくて可愛いにもなれない。 最初から好きになってはもらえないと分かっていた。 それでも剛史が好きだった。
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