お父さんはサンタクロース

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お父さんはサンタクロース

 もうすぐクリスマス。今年も子どもたちにプレゼントを買わなければ。子どもたちはまだサンタがいると思っているからだ。サンタの代わりにプレゼントを届けなくては。  ウィンドウショッピングをしていると、こんなキャッチコピーが目に入った。 「サンタの衣装貸します!」  これはいい! 子どもたちが寝ついた後にプレゼントを枕元に置くとはいえ、もしもの時がある。サンタのかっこうをしていれば、言い逃れできるかもしれない。子どもの夢は壊したくない。  衣装は借りたし、次は肝心なプレゼントだ。長男はゲームソフト、次男が本、長女がお人形セットだったな。ちゃんとメモを見て買わなくては。自分が子どもの頃、ゲームソフトを頼んだのに、違うゲームソフトが置いてあって、一日中泣いたのはいい思い出だ。  プレゼントは買ったし、あとはローストビーフを買って終わり! 裕福とは言えないが、こんな時くらい奮発してもいいだろう。 「ただいまー」 「お父さんおかえりー」  子どもたちが駆け寄ってくる。妻は三年前に他界した。私がいない間、寂しい思いをさせたに違いない。 「さあ、今日はクリスマスだ。美味しいものを買ってきたぞー。リビングでテレビを見ていい子にしているんだぞ」 「はーい」
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