1/1
前へ
/4ページ
次へ

 玄関への階段をのぼり、入り口のドアノブに手をかけた。  鍵がかかっていた。  父親が外に出ているのに、なぜ鍵をかけるんだろう?  不思議に思ったが、深く考えるのはやめた。おれは少々お行儀(ぎょうぎ)悪くあけさせてもらった。 「キャシー」  ドアをあけながら、呼びかける。  だが、入ってすぐのところに立っていたのは、キャシーの兄のマイクだった。  驚いたことに、ライフルをかまえているじゃないか。 「出ていけ」  銃口をおれに向け、そんなことを言う。  キャシーとは年の離れたこの兄貴は、昔から札付きのワルとして名をはせていたものだ。家族みんながそれで悩んだはずだ。  やれやれ。  おれはため息をつくと、またちょっと強引にそこを通らせてもらった。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加