1人が本棚に入れています
本棚に追加
4
「きゃあっ」
一階におりると、キャシーが悲鳴をあげた。
兄のマイクが、頭から血を流してたおれているのを見たせいだ。
もちろん、マイクが苦しまないように、一発でしとめたさ。38口径のグロックでね。
おれはキャシーの手を引き、出入り口を通る。
「ひっ」
キャシーがドアを見て息をのむ。
ああ、さっき、ドアのカギを銃弾で吹きとばしたんだっけ。
「きゃあっ」
外に出ると、またキャシーが悲鳴をあげた。
父親のロバートも、頭から血を流してたおれていたからだ。
もちろん、ロバートも一発だった。
おれはキャシーを車に乗せて、エンジンをかけた。
「おじさん、ゆるして」
と、キャシーがふるえる声で言う。
おいおい、許嫁をつかまえて、「おじさん」はないだろう。
おれはまだ三十九歳で、きみとはたったの二十五歳しか違わないんだよ。
まあいい。
おれは車をスタートさせた。
どこかのモーテルに行って、これから始まる新婚旅行のことを、じっくりと話し合おうじゃないか。
〈了〉
最初のコメントを投稿しよう!