第1章 狂い咲きの運命。

1/2

2人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ

第1章 狂い咲きの運命。

明智秀満「忠興、裏切るならば…玉姫を我らの元に戻して貰おうか?」 織田信忠を守り羽柴秀吉らの援軍を待つ細川忠興の元に表れたのは… 細川忠興「裏切りは我らにあらず。 裏切ったのは明智ではないのか?」 明智秀満は明智光秀の長女であり 荒木村重の息子である村次の元妻でもあった明智りんの婿でした。 明智秀満「我らは義兄弟だと言うのに 敵味方に別れようと言うのか?」 明智りんは細川忠興が溺愛する玉こと 細川ガラシャの同母姉でございます。 しかし… 細川忠興「羽柴殿がいらっしゃるまで 私がお館様や信澄殿、信孝様をお守り致しまする…。」 明智秀満「忠興の妻は玉姫で信澄の妻は紫濃(しの)。2人とも明智の姫ではないか?なのに…」 細川忠興の態度に激昂した明智秀満は 美國を目掛けて刺客を放ちました。 それも… 本多忠勝「数が多すぎる…!」 数えきれぬくらいの刺客に さすがの本多忠勝さえも一瞬怯む程、 徳川家康「信忠様の寵姫を狙うなど 許し難し。必ずや守り抜け。三河武士の意地を見せるは今ぞ!」 徳川家康の声に服部半蔵、榊原康正らは美國を狙う刺客を倒し続けました。 無論 津田信澄「私も織田の血を受け継ぐ者。細川忠興殿と共に明智の凶行からお館様を守り抜いてみせる!」 津田信澄も赤子の頃、信長より 父親である織田信行の謀反に連座しなければならなかったのを救われている事もありますので… 信澄と信忠は美國と信忠の前に立ち、 明智秀満と刺客達から2人を守るという立ち位置を明確にしました。 明智秀満「どいつもこいつも 殿を裏切るなどと…許すまじ!」 更に怒り狂った明智秀満に対して 美國は初めて身を震わせました。 すると… 織田信忠「美國、必ずや守る。私は織田の当主でありそなたを連れて天下に号令しなければならぬ…」 信忠は妙覚寺を2人で脱出してから 美國と色々な話をしていく中で… そのココロを美國に傾けていました。 しかし… 恋が実ろうとした矢先、 残酷すぎる悲劇が美國を襲いました。 それは… 明智秀満「こちらも未来のため命懸けで殿の道を守り抜くまで…」 明智秀満の言葉には何やら狂気じみた雰囲気が滲んでおり… 信澄と忠興が嫌な予感を感じ 神経を更に研ぎ澄ましたのですが… 鳶丸(とびまる)「覚悟!」 美國を狙おうとした刺客の鳶丸は、 前ではなく後ろから2人を…否、 美國を狙ったふりをして 信忠の背後を狙っていました。 信忠「くっ!卑怯だぞ! 後ろからなど…!」 信忠が幾ら反応が鋭いと言っても 背後はさすがに無防備でした。 すると… 美國「ダメ!」 美國は信忠を守るために… 刺客の目の前に飛び出したのです。 信澄「えっ?」 忠興「嘘だろ?」 これには信忠と信澄が反応し、 鳶丸は討ち果たされました。 信忠「美國、背後を取られたのは、 私が未熟だったせいなのに…どうしてそなたが私の代わりに犠牲となる?」 信忠は肩で息をしている美國を抱きしめながら涙ながらに問い掛けました。 すると… 美國「私は貴方の命を守りたくて… 貴方が統べる世の中が見たくてここまで共に来ました。お慕いしています。私の想い…届きましたか?」 それだけ告げると美國は、 突然激しい光りと共に 消えてしまいました。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加