恐怖の一夜

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恐怖の一夜

 晩餐が済むとみんなすぐさまに自室に戻った。特に冬美さんは喜八郎さんが警告をすると同時に一番に広間を出ていった。当然だ。命を狙われているのだから。  僕も命を狙われている点では同じだ。犯人が館の持ち主でマスターキーを持っているかもしれない現状では、僕の部屋は鍵があってないようなものだ。  僕は部屋に戻ると扉の前にタンスを置いた。移動させるのは一苦労だった。本当はもっと家具を置くべきだろうけれど、帰宅部の僕にはこれが限界だった。  一通りの作業が終わると僕はベッドに倒れこんだ。今日もいろいろなことが起きすぎた。荒木さんの事件に秋吉さんの事件。でも、確実に前進している。犯人の犯行の法則性が分かった。次のターゲットが分かったのも大きい。何より、今晩を無事にこせば、明日には迎えがくる。これは僕たちにとって大きな希望だった。
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