絶望と希望

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「そういえば、偶然にも由美子さんのタロット占いが当たったことになるな。俺の未来のカードは『死』だった。あれは俺が『春の間』で死ぬことじゃあなくて、死刑になるかもしれないってことを意味しているのかもな」  暁はそれだけ言うと、みんなの方に去っていった。  タロット占い。僕はその存在をすっかり忘れていた。確か僕の未来のカードは「悪魔」だった。絶望という意味だ。まさに僕の今の状況を的確に表している。一人の友人が死に、その殺人の罪によってもう一人の友人が裁かれる。これ以上の絶望があるだろうか。 「迎えの船がやって参りました。みなさま、荷物の準備をお願いします」  三日月さんの言葉で夕方になったことを知る。船長は四日目の夕方に迎えにくると言っていた。物思いにふけっていたら、あっという間に時間が経っていた。  館の外に出ると夏独特の暖かい風が僕たちを襲う。夕日が海を照らしており、うっすらとした朱色に染まっている。  気がつくと、喜八郎さんが僕の横に立っていた。 「諫早殿にとっては辛い出来事の連続じゃったな。一度に二人の学友を失うのじゃ。ご愁傷様と言うほかあるまい」  僕はうなずく。
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