寝台列車「北斗星の悲劇」

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「殺人事件が起こったから当然、途中の駅で緊急停止したのじゃ。連絡を受けていた警察がすぐに乗り込んできての。わしと同じ車両じゃったから、もちろん事情聴取を受けた。被害者はナイフで胸を一突きされておったと刑事が言った。まあ、その後の流れは諫早殿も知ってのとおりじゃ。身体検査に手荷物チェックに周辺の聞き込み。聞き込みの結果、ある人物が犯人として浮上したのじゃ。容疑者は若い男じゃった」  当時のことを思い出すかのように、喜八郎さんは目をつむって上を向く。きっと、まぶたの中で当時の状況を思い起こしているのだろう。 「なぜ、その男が犯人として浮上したかは明白じゃった。事件直後から挙動不審だったからじゃ。警察が問い詰めると男はあっさり自白した」  まだ、どこが変わった事件なのか見当がつかない。
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