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「ああ、こいつは前妻との子供だ。妻はいい奴だったんだが、残念ながら息子は出来損ないに育ってしまった。釣部の名前を名乗らせるのにふさわしくないから、前妻の苗字なのさ。将来的にこんな奴に遺産がいくと思うと虫唾が走るわ」  秋原さんの境遇が可哀想に思えてきた。人は親を選ぶことはできない。 「さて、皆さま自己紹介が終わったようですので、館をの中をご案内いたします」 「待てよ。主催者さんにお礼が言いたいんだけど。どこにいるんだ?」暁にしてはまっとうな質問だった。 「それは私も存じません。なにせ、お給料が良かったので応募したのですが、直接の面識はないのでございます。支払いが良くて前払いだったので、私自身もお礼を言いたいのですが」  主催者は相当お金を持てあましているらしい。見ず知らずの僕たちをこんな立派な島へ招待するなんて、よっぽどのお金持ちにしかできない。 「では、改めて館の中をご案内いたします」
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