秋の間

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 秋の間は他の部屋と共通で、中央に机と椅子が据えれれていた。そして、天井の梁はむき出しだった。  僕たちは「秋の間」から「冬の間」に向かう。 「それにしても意外だったな」と僕。 「なにがだ?」 「暁が謝ったことだよ。普段、そんなことしないじゃん。暁らしくないなって」 「まあ、俺だって空気は読めるんだぜ。誰かさんほどじゃないけど」暁はいたずらっぽく、こちらを見る。 「それにな、あのまま言い争っていたら、相棒が俺に加勢するだろう。由美子さんはあの婆さんに加勢するに違いない。すると、どうなる? 俺、相棒対婆さん、由美子さんだ。これじゃあ、相棒と由美子さんの仲が悪くなっちまう。それを避けたかったのさ」 暁はそこまで深く考えていたのか。珍しく先のことまで考えている。普段からそうだといいのだけれど。 「まあ、なんにせよ、良かったよ。バカンスはみんなで楽しまなきゃ」と僕。 「俺は全員と仲良くできる気はしないな。特にあの社長と知識をひけらかす爺さん。あれは無理だ」 「僕も暁に同意するよ。あの二人は好きじゃない。あの二人同士は馬が合いそうだけど。あ、もうすぐ『冬の間』だ。どんな工夫があるのかな。楽しみだね」
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