占い

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占い

 テーブルで、暁、夏央、それに草次さんと、由美子さん、天馬さんが何かに興じていた。ものすごく盛り上がっている。 「何してるのさ」僕は覗き込む。 「よっ、本の虫のご帰還だ!」暁がからかう。 「今ね、由美子さんが占いをしてくれているんだ!」  天馬さんの口調は明るい。どうやら父親がいないときはリラックスできるようだ。薫さんの判断は正しかったようだ。 「それで、どんな占いをしてるの?」机の上をのぞきこむ。 「これさ!」草次さんが机のカードを取り上げる。  トランプとは違い図柄が入っている。なんだろうか。 「タロット占いさ。周平も聞いたことくらいあるだろ?」と夏央。 「うーん、聞いたことはあるけど……。どんな内容かは知らないな」  自分は人より知識があると自負しているが、占いなどは信じていないので守備範囲外だった。 「タロットはね、それぞれのカードに図柄が入っているの。それを横に三枚並べることで、過去・現在・未来を占うの」由美子さんが静かに言う。 「もちろん、図柄を見て『こうだ!』って断定するんじゃないの。図柄や順番からインスピレーションで読み取るの」 「見てりゃあ分かるって! 次は相棒の番だぜ!」どうやら次は草次さんの番らしい。  暁の言うとおりだ。百聞は一見に如かず。黙って見ることにしよう。由美子さんはカードの束を丁寧にカットする。
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