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「さあ、草次の結果は……過去から順に、『愚者』、『恋人』、『星』ね。これの意味するところは……まずは過去のカードの『愚者』ね」
「おい、愚か者は酷いだろ!」
カードには今にも崖から落ちそうな男が描かれている。男の視線は上の方を向いているので、あと一歩進めば崖から真っ逆さまだ。まさに愚か者といった感じだ。
「焦らないで、草次。『愚者』の意味には、はじまりや開放的っていう意味もあるの。うーん、この場合は……開放的っていう言葉が適切かしら」
「よかったな、相棒!」暁がニヤリとする。
「まあな!」
「静かにして。次は……『恋人』ね」
「これなら、素人にも分かるぜ。つまり、草次と由美子のことだな」
夏央の言葉に由美子さんは真っ赤になる。草次さんはまんざらでもなさそうだ。
「……そうなるわね。最後に未来。これは『星』のカードね」
かがみ込んだ女性の上に、無数の星が描かれている。
「で、俺の未来はどうなんだ?」草次は急かす。
「簡単さ。『死んでお星様になる』ってことさ!」暁が茶化す。
「そりゃないぜ、相棒」
「そうね、これは……平穏とか希望という意味だわ」由美子さんは二人のやりとりを無視して続ける。
「じゃあ、話は早い。恋人の次が希望や平穏だろ? つまり、草次は由美子と結ばれて幸せになるってことだ」インチキ占い師の夏央が言う。
「そうだといいんだけど……」
「まあ、全体としては悪くなさそうだな。愚か者はいただけないけれど。次は誰の番だ?」草次さんがあたりを見渡す。
「夏央なんかどうだ?」暁が指名する。
「夏央さんね。カードを切り直すから、ちょっと待って。……さて、どうなるかしら?」
由美子さんが三枚のカードを並べる。順に天使みたいな絵、輪っか、塔だ。
「最初は『節制』のカードね。これは健康とかバランスが良いって意味ね」
「お、いきなりいいカードが来たぞ! 続けてよ!」
「次は『運命の車輪』ね。つまり、そのまま運命とかターニングポイントって意味よ」
「それで、それで、未来はどうよ?」夏央は自分の番になると真剣に聞く。かなり前のめりになっている。
「『塔』のカードね。突然の変化、啓示、転落などの意味があるの」
「転落ぅ?あまりいい響きじゃないな……」夏央はため息をつく。
「でも、安心して。ターニングポイントの次だから、啓示を受けてひらめきが訪れるとも読み取れるわ。全体を通すと……バランスを保っていたところに、ターニングポイントが訪れて、ひらめきを得る、もしくは驚かされるって感じね」
「うーん、全体的に見れば可もなく不可もなくだな」夏央は肩をがっくりと落とす。もっといい結果を望んでいたようだ。
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