占い

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「次は相棒の番だ! 周平は最後だから、大人しく待ってろよ!」  草次さんは僕が最後と言った。そうなると、天馬さんはすでに占ってもらったということになる。 「さて、相棒よりいいカードを引くぞー」暁が張り切って肩を回す。 「あの、カードを引くのは由美子さんだと思うんだけど……」天馬さんがストップをかける。  しかし、暁が人の意見を聞くはずもなく、三枚のカードをえいや、と並べる。 d0d6cc1f-e063-491d-a157-43a54a7b1bdf 「しょうがないわね、本来は占う本人が引くんだけど。最初は、『月』ね。想像力や幻影、戸惑いって意味があるわ」 「うーん、よく分からないな。次行こうぜ、次!」暁は真ん中のカードを指す。  なんか偉そうな人が書いてある。何かに乗っているようだ。 「これは『戦車』ね……勝利、意志などの意味よ。最後は――」  空気が凍った。 「デス――死、か……」暁が固まる。 「……確かに、そのまま読むと不吉だけど、違う意味もあるわ。移り変わりって意味もあるの。だから、今回の場合は……そうね、戸惑っていたけど意志が固まって、移り変わるってこと。だから、何か強い意志を実行して、状況が変わるってところじゃないかしら?」由美子さんがフォローする。 「……」  暁は心ここに在らずで、由美子さんの言葉が届いていないようだ。それにしても、死のカード番号が十三番だとは。かなり不吉だ。  僕は気づいた。タロットは占い師がカードからインスピレーションを得て占うものだ。つまり、解釈の仕方は占い師次第とも言える。由美子さんはみんなが悪いカードを引くたびに、ポジティブな解釈をしていた。彼女の優しさが伝わってきた。 「……まあ、気にすんなよ、相棒。もうすぐ夕飯の時間だぜ! シャキッとしろよ!」草次さんの声が虚しく広間に響いた。
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