晩餐会

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「みなさん、すばらしい趣味をおもちね。アウトドア派なのね。天馬さんはインドア派だから、お話を聞いていてとても面白いわ」と薫さん。 「僕も読書が趣味ですから天馬さんと同じくインドア派ですね。天馬さんの趣味は何なんですか?」 「天馬さんの趣味はね、プラモデル作りなの」 「プラモデル作り? あのこまごまとしたものをよく作れるな。医者の手術みたいにピンセットで細かい作業をするんだろ? 俺だったらイライラして途中で放り投げる未来しかみえないぜ」  暁なんかは作り始めるどころか、プラモデルの箱を開けた瞬間、そっと閉じるに違いない。それどころか、そもそも買うという選択肢すらないだろう。 「天馬さんはね、病気の関係もあって、あまり外に出られないの。それにうちの人がああだから、内向的なのよ」薫さんがため息をつく。 「そういえば、天馬はあんたの実の子じゃないんだよな? なんでそこまで気にかけてるんだ?」草次さんが無神経に聞く。  気にならないといえば嘘になるが、さすがに聞くのははばかられていた。 「他人から見たら、そう感じるのも無理はないわ。でもね、天馬さんの実の母親は私の友人だったの。いくら血がつながってないとはいえ、大切な子よ」  社長夫人である薫さんも悩みの種が尽きないようだった。  そうこうしているうちに楽しい晩餐会は終わった。 5ae2dffc-ec16-4926-a5e2-578770e5f898
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