談笑

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「まずは『隠者』ね。これは探求とか孤独という意味よ」 「なるほど、読書好きで孤立しがちだった周平そのものだな」  暁の言うとおり、僕は読書好きで静かな場所を好んでいたので、自然と一人になりがちだった。そこへ手を差し伸べてくれたのが、暁と夏央だった。 「次は『司祭』ね。ルールに従うとか、集団に帰属するっていう意味よ」 「なるほど」と僕。 「最後のカードは……『悪魔』ね。これは……」 「ちょい待ち。予想させてくれ。悪魔、悪魔っと。悪魔と言えば、欲望に引きずり込むイメージだな。周平は何かの欲望に負けるってところか?」暁が独自の解釈を披露する。 「そうね、悪魔と言えばそういうイメージができるわね。タロットカードの『悪魔』はね、束縛されるとか無知でいるとか、その……希望がないとかそういう意味もあるの」  由美子さんは言いづらそうに口ごもる。  「死」のカードと比べると、どっこいどっこいというところか。「悪魔」の方が少しはましかもしれない。ほんのわずかにだけれど。 「救いがないな。で、過去から未来までを続けてみるとどうなるんだ?」と夏央。 「うーん、前半は暁さんが言ったような意味あいね。つなげると、孤独だったところに、暁さんや夏央さんがやってきて仲間ができた。そして……未知のものを恐れて外に出られない、ということかしら。最後の『悪魔』の意味は、二人以外の人と交友できずにいるってことね。アドバイスをするなら、もっと積極的に友達を作るべきね」由美子さんが丁寧に説明してくれた。 「おいおい、俺のときにアドバイスなんてなかったぞ。周平だけずるいぞ!」と暁。 「相棒のカードよりアドバイスがしやすいだけだろ」 「そうよ」
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