捜索

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 先に帰ってきたのは暁だった。 「待たせたな」 「まったくだよ」僕はホッと胸をなでおろす。 「それにしても、夏央遅くないかなぁ?」  夏央の方が先に離脱したはずだ。僕は少しづつ不安になってくる。   「どこに落としたのか分からなくて手間取ってるのかもな。それか、俺らを見失ったか」  暁も同じことを思ったみたいだ。 「ねえ、探しに行かない?」   「そうだな。でも、入れ違いになったらどうする?」と暁。   「安心しろ。俺と由美子は広間に残る。二人で探しに行ってくれ。これならどちらも一人にならないし、行き違いにもならない」 「でも、今度は僕たちと夏央が行き違いにならない? 戻る時間を決めようよ。それでどうかな」僕は提案する。 「一理あるな。周平、探すのは十五分くらいにするか?」  僕はうなずく。 「相棒もそれでいいか?」と暁。 「まあ、そこが妥協点だな」 「じゃ、またあとで」  僕たちは草次さんたちに手を振りながら、別れを告げる。 「気をつけてね」由美子さんが手を振り返しながら言った。 d9a67019-1857-4cde-8e61-dcf3ddefc21c
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