広間での推理

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「ねえ、タロットカードで思い出したんだけど。確か『周平は一番最後』って聞いたんだけど、天馬さんの未来はどんな結果だったの? 僕はその場にいなかったから、知らないんだけど」  犯人なら、次に天馬さんを狙うかもしれない。そしてそのときは、やはりタロット占いの結果と類似させるに違いない。それとなく聞いたつもりだけど、うまくいくだろうか。 「確か『感情を開放する』だったよな? たぶん、親父の釣部から解放されて、感情を開放できるだろうって。なあ由美子?」 「確かにそう言ったわ。でも、周平さんが聞きたいのは『なんのカードだったか』よ。周平さん、違う?」  図星だった。由美子さんにはバレバレだった。こうなったらストレートに聞くしかない。 「そうだよ。犯人はタロット占いの結果を利用して、僕たちの恐怖心を煽ってるんじゃないかと思って」 「やっぱりね。周平さんは嘘をつくのが下手ね。でも、そこは素敵なところでもあるわ。天馬さんの未来は『吊るされた男』のカードだったわ」由美子さんが答える。 「つ、吊るされた男?」  あまりにも不吉すぎる。 「そう。でも、悪い意味ばかりのカードじゃないの。吊るされた男って言っても、別に自殺みたいに首を吊っているわけじゃないわ。足をロープで縛られて逆さづりにされてるの。実際カードを見せられれば、話が早いのに。ともかく『逆さづり』なの。ここがポイントよ。だから、『手放す』や『逆転』とかの意味があるの。どう、満足かしら」 「ありがとう」 「でも、周平さんの考えどおり、犯人が占いを利用しようとしているなら、この中にいることになるけれど……」由美子さんは不安げに僕らを見わたす。 「あ、あの、僕、お母さんに結果を言ったんだけど……」天馬さんが言う。 「天馬が母親に言ったんだ、どこの誰が知っていてもおかしくないな」 「相棒の言うとおりだ。それに俺はここに犯人がいるとは信じたくない」暁の願望がこぼれでた。  
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