広間にて

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広間にて

「なるほど、そうじゃったか……」  僕たちが書庫での出来事を話すと喜八郎さんは考え込む。 「まあ、ダメもとで手荷物検査をしてもいいんじゃないか?」と秋吉さん。 「ぼ、僕もそう思います。辞書が出てこなくても、犯人へのけん制にはなると思います」天馬さんが秋吉さんに続く。 「お前は黙っとれ!」  秋吉さんはテーブルを思いきり叩く。勢いで机上のコップが倒れて水がこぼれる。 「あなた、落ち着きなさい。事件の連続でイライラするのも分かるけど、天馬さんにあたることはないわ」 「そうね。薫さんの言うとおりだわ。今は一致団結して犯人に対抗すべきよ。仲間割れしていたら、犯人の思う壺よ」冬美さんが援護する。 「ふむ、手荷物検査で決まりじゃな」
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