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29 王太子と四回目 ※
殿下は、ズボンを下げようとした。俺も仰向けにされながらも膝を立てて、腰を少し浮かせて協力するようにお尻をあげると、殿下は笑った。すぽっと下だけ脱がされると、俺の男の子は既に元気だった。
「シンは感じやすくて、いいね」
「あ、あ、はあっ」
誰と比べてるんだよ。そう思うも、殿下の素手が俺を触ると、もうダメだった。片足だけ太ももを持ち上げて鼠径部を舐められた。
「ひゃあ、ああ」
「いい香りだ」
嘘だろう、そんなところがいい匂いのわけがない。殿下の舌がまるで生き物のように這いずり回る。大事なところに触れるよりもなんだかいやらしい。この男は凄い技を今までの閨係で習得したのだろう。未経験の俺なんかは、ぐだぐだだ。これで殿下のアレを尻にいれたら、俺はどうなっちゃうのだろうか。
「シン、私を見て」
「えっ」
「好きだよ」
「あ、あの」
「シンは? 私のことをどう思ってる?」
「どうって、その」
俺は下半身裸で、大きなソファに寝そべっている。服を着て俺に向き合い座る殿下は、寝ている俺を満足そうに上から見て、俺の片方の足だけを持ち上げて、自分の肩にかけた。王太子ともあろうお方が、なんてワイルドなんだろう。俺、こんな体勢で何を言ったらいいの? ぱかっと開かれた足から分かるように、俺の全てが見られている状況は恥ずかしさと心細さが同居した。
せめてパンツさえ履いていれば、何か思考力が違ったはず。
「答えて……シン」
「王子様だと思ってます」
当たり前のことを言った俺。
「それはシンだけの王子ってこと?」
「えっ、みんなの? いや、この国の? じゃない、婚約者様の王子様です。自分はそれまでの体を差し出す相手なので、ちゃんと閨係だと思ってます」
これが正解だろう、後宮からは決して好きにならないように言われている。わがままを言うな、立場をわきまえろと言われた。殿下がなにかを言う分にはいいが、本気になるな。
だから俺は模範解答をしたはず。よしっ、って思うもこの体勢では誇らしくも無い。
「そうか。そうだな、私たちは体を合わす前に言葉が必要だな」
「……」
なんか殿下が残念そうな顔をした。俺は正解を間違えたらしい。ヤバイっ、不敬罪!?
「殿下、あの申し訳ありません。その、ありがたいお言葉は自分にかけていただかなくていいので、僕の体を好きに使ってください」
「シン!?」
そう言って、俺はお尻を少し上げて、手で後ろの孔を開いて殿下に見せた。恥ずかしいが、俺の使う場所は硬くなった男根ではなくて、後ろだけだから。そんなにさわさわと俺を舐めたり触ったりする必要はない。とにかく、早く終わって欲しいし、会話をしても不敬になりそうなことを言ってしまいそうになるから、ずぼっとひと思いに終わらせて欲しかった。
「早く、ここに、どうぞ」
「そんな真っ赤な顔して、やってることは手練れのオメガのようだな……その矛盾もたまらない」
殿下は困ったような、赤い顔をして戸惑ったような、そんな感じがした。お互いに照れている? やめろよ、殿下は散々閨係を抱いて慣れているんだから、照れるな! 殿下が照れると俺はもっと照れる。
「は、恥ずかしいから、早くっ」
「くそっ、私の気持ちも知らないで」
知るはずがない。高貴な方の気持ちなんて。
「えっ、そこじゃないっ、ああああ!」
殿下は迷わず俺の孔に突っ込む……ではなく、男根を口に含んだ。くちゅくちゅと俺のモノをキャンディーのように舐めては吸って、とにかく凄い快楽が押し寄せた。
「あ、ああ、あ、ダメっ、汚いです。離してっ、で、出ちゃう!」
「出せ」
「あ、あ、ダメ」
「ほら、もう蜜が凄いよ、我慢しないで」
「あ。あ。ああああ!」
殿下の口の中にぶちまけてしまった。
「ゴクンっ、うん、最上級のオメガの味だ」
「あ、あ、なんてことを! もうしわけっ、んんん」
「謝罪はもう聞きたくない。気持ち良かったと、その一言で私は天にも昇る気持ちになる。お願いだ、どうだったか教えて?」
キスをしてきた。俺のアレが入った口でキスを!? でも不思議と嫌じゃなかった。すぐに口内は殿下のかぐわしいアルファの香りで満たされ、また口の中も快楽を拾い、そして欲望を出したこともあり脳内はホワホワしていた。
「気持ちいい、凄く気持ちいっ!」
「そうか。それは良かった」
ぐだぐだのまま、俺は意識が途絶えた。
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