想いのカタチは違くても

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「いやいや、もう『受け取らない』って言われちゃったし……。きっと何度持って行っても受け取っては貰えないわよ。嫌いになっちゃったのかも知れないわね。」 残念そうにおばあさんが言う。 しかし、私はここで引き下がりたくはなかった。 私も、両親と揉めたことはある。 それでも、ちゃんと歩み寄り、寄り添うことが出来たから今の関係がある。 そして、歩み寄れたのは、お互いの誤解をしっかりと解いたから。 おばあさんと娘さんも、きっと何か誤解をしているかもしれない。 誤解が残ったまま仲たがいをする、それはとても悲しい事だから、少しでも二人の力になれたら、そう思ったのだ。 「お節介かもしれませんが、私はお二人がずっと誤解したままだと感じたのです。お互いに話せていないことがある、お互いに言わなくてはならないことがある。そう感じました。だから……。」 「また断られたら、悲しいわよね?」 このおばあさんの言葉で、私の気持ちは決まった。 おばあさんは確かに『悲しい』と言った。 おばあさんには、娘さんに寄り添う気持ちは充分あるのだ。 「私に考えがあります。」
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