想いのカタチは違くても

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村での仕事には就かなかった。 私が作家であるということを知ったからなのか、村の消防団の誘いなどもなかった。 奥様方は、 「村の男は大体、消防団に入ってる。何かあった時に穴居k助けになるのは男手だからね。まぁ、滅多にに何もない村だから、消防団の活動ったって消防車両の手入れと飲み会くらいだろうけどね。」 と、笑いながら言っていた。 しかし、自分も村の男になる身。何か村のためにしなければと思い、 「でも、やはり消防団には入った方が良いですよね……。」 と訊ねたところ、みんな笑顔でこう言ってくれた。 「ありがとう。村のために何かしようと思ってくれただけでありがたいよ。消防団は、仕事の都合で入れない男たちもいる。だからね、無理しなくていいよ。でもね先生……もし困っている人がいたら、助けてあげてくれるかい? それだけで充分だからさ。」 困った人を助けてあげて欲しい。 自分のためにとか、村のためにではなく、困った誰かのために手を差し伸べて欲しい。 そう願う村の女性に、温かい気持ちを感じたのは言うまでもない。
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