拳銃と乙女

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 ドレスの中 銃をしまって  ただ一人に嫁ぐ  花の乙女つつましく  ジューン・ブライド 紫陽花 雨上がり  寝所でヴェールはいで  今あなたに贈る  旅はいかがでしょう  死出の旅路は  終わりね王子様  私は刺客さ  花嫁に化けた  おさらば王子様  今宵は残念  永遠にお休み  「最後ならキスしてね」  王子はやっぱりおバカさん  洒落たこと言い出した  いつでもファッションリーダー  造作もない。キスくらいしてあげる私  その隙に飛ばされた  私も私もおバカさん  一見モヤシ王子だが  人を飛ばす技持ちだ  打ちどころも悪かったし  ここは観念するところ  煮るなり焼くなりしろ  腹ならくくっている  斬首される時が  来たと思った  チェス盤出す王子  何と残忍だろう  鈍器で殺るのか  寝そべる変な王子  どんな殺し方  あなたはするの?  寝そべって駒並べ  王子は鼻歌フンフン  「次の一手はどうするの?」  私に私に尋ねる  もう一手も私に無い  見てわからないの?  「早くチェスで遊んで」  王子がせがんで待ってる  王子、何を企んでる  チェスの相手させて  さては私の口割らせて  一網打尽する気?  そんな士気の低い  組織と間違えるな  チェスで油断させる  そんなつもりね?  ぬるいね王子様  隙はガラガラだ  退避してやる  次こそ待っていろ  その首洗って  金に溺れて  よそ見した王子から  まんまとまんまと逃げたの  失敗は二度しない  逃げるは逃げるは今日だけ  次に来たその時も飛ばされるなんて  思いもしなかったの  私は私はおバカさん  モヤシ王子、あんたの勝ち  やっぱ打ちどころ悪く  煮るなり焼くなり好きにしろ  腹をくくる私  王子が人を呼んだ  ほら、もう終わりね  王子がVIPとか言う  私の事を  VIPって何だよ  衣装を新調され  髪を結われる  VIPって何だよ  かしづくメイドら  私に向かって  王子様の説明は  「あなたは異国の女王様  芝居打ちの名手で  ドッキリショーが大好き  東洋の妖狐みたく七変化するよ  今日は刺客に扮した。  そういう話でまとめた」  王子、何を企んでる  私をVIPなんかにし  さては私の口割らせて  一網打尽する気?  花瓶の割れる音と  バトラーの怒声  「これからどうなるか  わかっているな?!  王子はお怒り  誰の失敗でも  お許しにならない  王子はお怒り  花瓶も大事だが  士気も尊ばれ」  体罰が始まった  「王子はお怒り、お怒り」  王子が私の手を引いて  現場を現場を逃げ出す  二人して百合園に駆け込んでみると  そこでだって体罰が  “王子のお怒り”謳うよ  二人っきりでランチの刻  ガツガツする私と  しゃっきりしない王子様  あんた野菜食べないの?  ランチを終えるなり  私の手を引いて  王子は歩き出した  百合園の中  どこでも体罰  体罰の嵐  怒声と悲鳴  誰でも“王子”を  簡単に騙る  百合園台無し  「ここから居なくなりたい」  王子が一言こぼした  「愛情はもういらない」  言いつつ百合園抜けてく  愛じゃないよ。  それすらも あんた知らないの?  不幸だね 王子様  臣下に臣下に祀られ  王子様のお願いは  「どこか遠く連れてって」  言うと思いましたとも  何処にあんた行きたいの?  王子がこう答える  「あなたのいる場所へ」  過酷な任務なのに  「それでもいい」と  いけない王子様  解決が違う  夢の見過ぎだよ  駄目だよ王子様  解決が違う  見渡してごらん  膝と膝付き合わせ  王子に王子に説教  こんなキャラじゃなかったが  王子に王子に説教  王子様、ゴニョゴニョと言い訳してる  あーしゃっきりとしなさいよ  王子に王子に説教  王子の雨季は終わるかな  野菜ちゃんと食べなさい  王子の涙 乾くかな  お肉ちゃんと食べなさい  仲間を分けてあげる  改革をしなさい  上から出来るでしょう  改革なさい  どんな恐ろしい  王子だと思い  潜入したかな  恐ろしいのは  臣下の権力  剥いでやりなさい  私は任務がある  休みは休みはありません  元気を出して王子  仲間がサポートするから  ひとまずは居なくなる それが私だ  また会おう 王子様  食事はきちんと摂ること!
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