失われた村

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 少年はローブから瓶に入った薬を取り出した。中に入っている液体は透明なのに、キラキラ光ってる。 「ちょっと下がっとれ」  少年が石になったクレストに瓶の液体を振り掛ける。クレストもキラキラ光る。あたしはクレストがもとに戻るか、心配でしかたなかった。  石になったクレストは、液体をかぶったとたんに淡く光った。 「ん? あれ?」 「うまくいったぞい」 「クレスト!」  クレストは一瞬でもとに戻ってた。自分がどうして土に埋まっているのか不思議そうにしてる。あたしはクレストに抱きついた。 「良かった! もとに戻れて」 「俺、寝てたのか?」 「石になってたの。この子が治してくれたのよ」  クレストは泥だらけで起き上がり、少年を見て笑った。 「そうか、悪いな。俺はクレストだ」 「わしは大魔法使いのコールじゃ」 「コールか。大魔法使いなんてすごいな」 「おぬしこそ、蛇を倒すとはなかなかやるのう」 「魔物専門の傭兵だからな」 なんだか二人とも意気投合してる。 「ねえ、クレスト、あたしどこか変わってるの分からない?」 「お嬢様が? うーん」  クレストはしばらく考えていた。 「そんなに考えなくても、見たら分かるでしょ?」 「ああ、髪をほどいたのか」 「長さもちがうでしょ!」 「そうか?」  もーっ。あたしに全然興味ないんだから。 「その髪も似合うな」 「どこが? あたし短剣でばらばらに切ったのよ。今まで気付かなかったのに、どこが似合うの⁉︎」 「うーん……難しいな」 「クレスト、女の髪をとやかく言わないほうがよいぞ。結局何を言っても気に食わんのじゃ」 「だな」 「あんた達セットで分かったような事いわないでっ!」 「こわいのう」 「こわいこわい」 「ところで、コールはどこから来たんだ?」  あたしとコールはクレストにこれまでの状況を説明した。 「失われた村! やっぱりあったのか!」  クレストは目をきらきらさせた。まぶしい。クレストがまぶしい。無事で良かった。 「そういえば、森の中にも石になった人がいたわよ。コール、もう薬持ってないの?」 「今はあいにく、この一本しか持ってないんじゃ。材料が高くてな」 「そういえば、ここに来る途中でお地蔵さんがいたな。あれ、もしかして石になった人じゃないか?」 「そういわれてみれば、なんだか煩悩の塊みたいな顔してたわ」  結局薬がないので、石になった人たちは順番待ちという事になった。  お地蔵さまのところへ行く。蔦が絡んでて、壊れそうにない気がする。 「ケント!」  コールはお地蔵さまと知り合いみたい。 「このエロじじい、生きておったか」
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