いつかの君に。

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人生って、何が起こるかわからない。 23歳のときから、それを嫌と言うほど味わっている。 もちろんいいこともあった。 素敵な出会いもあったし、仕事も楽しかった。 けれど、いつからかなにかのバランスを崩してわたしは、人生のどん底を経験した。 仕事も家もなくして、途方に暮れる日々。 頼れる人なんていなくて、ただ毎日泣き疲れて眠れればいい方で。 そんな時は、決まっていつかの君を思い出した。 わたしが頼りすぎてしまったせいでしんどい思いをさせてしまったいつかの誰か。 解放してあげられたのは、ようやく、ここ数日の話。 今までの積み重ねで、今もきっと苦しんではいるのだろう。 けれど君には頼れる人も、頼るべき人もいる。 だからあまり心配はしていない。 そして、わたしはというと、独りに耐え切れず、新しい箱庭を見つけた。 小さな・・・てのひらサイズの小さな世界。 けれど、無限に広がるその世界。 23のときから体験した幸も不幸も入り交ざった世界も、そんな小さな世界からだったことを思い出して、思わず小さな笑いがこみあげてくる。 結局わたしは、現実を生きられない。 どこまでも。
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