安楽城らら

13/25
前へ
/29ページ
次へ
それから特に会話する事なく。 陰鬱な廃墟の雰囲気や歩き方にも慣れ。足も少し疲れて来たころ、やっと下に戻ってきた。 埃っぽい廃ビルを抜け出し。 荒れた地上でも、明るくて風通しが良い場所に戻って来れたのはホッとした。 そして、青蓮寺さんはこの裏手に車を停めているから、着いて来いと言うので引続き、後ろを着いて砂利道を少し歩くと。 ビルの元駐車場と思われる場所に着いた。 アスファルトはひび割れ。所々、雑草が芽吹いているが車を停めるには何も問題ない場所だった。 そこに目立ち過ぎる、車体の低い。赤い立派なスポーツカーが停まって居た。 こんな高級車、テレビのCMや雑誌とかでしか見た事がなくて固まっていると。 青蓮寺さんは懐からスマートキーを取り出して、車の運転手側のドアをさっと開いた。 「僕の車、霊柩車とか思った?」 ニヤリと笑う青蓮寺さん。 何と言って良いか分からず、首を横にブンブンと振る。 「それなりの稼ぎはある。僕の家は実はあばら屋でした。とか言うオチはないから、はよ助手席乗って」 どうやら、着いて行く事にまだ躊躇いがあったと勘違いされたようで、まさか高級車にびっくりしていましたとは言い難く。 とにかくさっと車に乗り込んだ。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

137人が本棚に入れています
本棚に追加