安楽城らら

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浴室は黒い大理石がふんだんに使われ、ピカピカで広く。清潔。 本当にホテルに泊まりに来たような感じになりながらも、ここにいつまで居れるか分からない。 せめてこの家に愛着は持つまいと言い聞かせて、さっと入浴を済ませたのだった。 あとはまた部屋に戻り。真新しいパジャマに着替えて。ベッドの上で、パッドを開いてマニュアルのファイルを見ていると、普通の事務職みたいな作業が多く。やって行けそうだと思った。 しかし、買い出し必要リストの項目の中に。 「和紙。墨汁。清め塩。榊に御神酒。なんか、ソレぽっいなぁ」 どれもネット販売とかで揃えても良さげな品かと思ったけれども。それぞれの品物に細かくお店の指定があった。 中には販売元が神社と言うものもあり。より一層ぽっいと思ったのだった。 そうして色々と読み込んでいると、瞼がまた重くなって来たので寝ようと思った。 電気を消して布団を被る。 前までは、明日なんか来るなと思っていた。 黒助の事を考えて眠れ無かった。未来への不安で胸が押し潰されてしまいそうだった。 でも今は。 黒助。私頑張る。おやすみ。と、胸中で思えるようになっていたのだった。
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