安良城らら②

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そんな事を伝えたら。 「四国か。ますますやな。あと普通、会社で不倫騒ぎがあったらそのまま、働くかなぁ。普通、居ずらいやろ。なのに犬養国司はよく、居座っているな」と、言っていた。 何がますますかは、分からなかったが。 会社に残るのは確かにそう。でも持ち前の運の良さで、何とかなったのだろうかと考えてしまう。 けど、犬養国司と関わりたくない。 知ったことではないと、そのことについては何も返事はしなかった。 それより。 ──分かったことって何だろう。 気になった。お箸を掴めずに。代わりに手をぎゅっと握り、青蓮寺さんを見つめると視線があった。 「そんな、喉に魚の骨が刺さった顔せんでも。気になるのは分かる。昼はちょっと忙しいねん。夜にはちゃんと話すから。まずは食事しよ。冷めたらもったいない。では頂きます」 青蓮寺さんは醤油瓶をこちらにさり気なく置いて、食事を始めた。 そう言われてしまえば、今直ぐにとは言えない。私がこなす雑務の多さから、青蓮寺さんの仕事が多忙なのは知っている。 仕方ない。夜まで待とうと思い。 ふぅっと、深呼吸をしてから。私も頂きますと手を合わせたのだった。
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