1人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ
「蓮、最近魔法を使ったのはいつだ?」
「いつかって言われても……。一年くらい前かな」
「一年前か」お父さんがため息をつく。
「それがどうかしたの?」
「蓮、我が家に伝わる魔法は一年以上使わないと魔力が失われるんだ」
「それ、本当!? そんな話、初めて聞いた」
「蓮、人の言うことはちゃんと聞きなさいと言っているだろう。聞き流してはだめだぞ」
どうやら、お父さんは話していたつもりらしい。僕が聞いてなかったことになったが、そんなことはどうでもいい。
「でも、魔法は自由に使えないじゃないか。どうやって使えっていうの?」
「蓮、まさか条件を満たすのが難しいというのか? 簡単じゃあないか。人の役に立つことなんて」
そう。我が家の魔法は人の役に立つことでしか使えない。不便すぎる。
「まあ、もうすぐ一年経つんだ。魔法を使わないと魔力がなくなるんだ。条件を満たすのが大変だというなら、蓮はそこまでということになる」
僕は急に難題をつきつけられた。人の役に立つために魔法を使うという難題を。
最初のコメントを投稿しよう!