3、仮面夫婦

3/3
前へ
/12ページ
次へ
この言葉には彩花の方が驚いてしまった。 竹内は服装こそサラリーマンでは無いが、言葉少なくおとなしい感じがしていたからだ。 つい、彩花は竹内に踏み込んだ質問をしてしまった。 「お相手の方は独身?」 「いいえ。違います」 W不倫か……中々……人間(ひと)は見かけによらない。 この男はルールが分かっている。付き合ってもいい。 さて、ストーカー野郎をどう始末するかだなと彩花が考えていると竹内がアドバイスをくれた。 「正攻法で警察に相談したら如何ですか?そして、お相手に警察に相談したって言うと効くと思いますが……」  竹内の言った通りだった。 「警察に相談して、あんたの名前も言ったわよ。これ以上何かしたら只では済まないからね」と彩花が電話で言ったら、ストーカー野郎から長々としたお詫びのメールが来て、それで全てが終わった。 竹内にアドバイスのお礼を言った。 「それでは、今度は私のお願いを聞いてくれますね」 竹内との最初のデートは房総半島の海岸だった。とても天気が良い日で海がキラキラしていた。  彩花と竹内は仕事で繋がっている。付き合うには、かなり危険な相手だ。他にも危険がある。竹内の妻だ。彩花は率直に危険要素の話をした。仕事については彩花の会社から請け負っている件数は少ないので、竹内が関わることはない。彩花の会社には、もう担当者しか行かないと答えた。 「家族か……家族は書類上いるだけだ。仮面夫婦なんだよ。私は別のところに住んでいる」
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加