艶ある嫌悪と白い滑

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疲れ果てたお互いの枕元に眩い夕日の日差しが差し込んできた。 雪君は目を輝かせて外を見た。 「雨、止んだね。」 だが私は少し寂しげに答えた。 「うん、ちょっと寂しいな」 荷物を抱えながらにっこりと微笑むと雪君は言った。 「何、また来るよ。すぐ会えるよ。」 そして私達は別れのキスを交わす。 「またな、霞。」 「ありがとう。雪君。」 玄関のドアが重々しく閉まる音でまた現実に引き戻された。 嗚呼、愛しの雪君、ずっと一緒にいてくれたらどんなに良いだろうか…… そんな彼への想いを募らせ始めた私の目に、窓越しに玄関を出ていく雪君の姿が映った。 彼は鞄を地面に置くと、私の庭の外壁の前に膝立ちになって、一心不乱にぬめぬめと光沢を放つ何かをつまみ取っては口に入れていた。 その時、先ほど交わしたキスの感触が重い泡立ちと滑りに塗り替えられた。 嗚呼、これは悪い夢。 でも目を覚させてくれる王子様はもういない。
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