おわりとはじまり(3)

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おわりとはじまり(3)

エドワード「……ん、んん? な、なにしてる? ……か、回復魔法?? ……ロ……ロジーナ、そんなちからが残ってるなら、君は自分を回復させろ。……君自身、そんなに魔法力は残っていないはずだろ。君には生きてほしい。……僕のことなんかいいから……第一、僕を倒さないと、君はウィザードになれないじゃないか……」 ロジーナ「しゃ喋らないでっ、本当に死んでしまうわっ……ウ、ウィザードなんて、そんなのもうどうでもいいわよーーっ!! ……その真実を聞かされて、エドワード、あなたがどんなに苦しかったのか教えてもらったら、ぁぁあたし、もうウィザード自体、どうでもよくなったってぇ!! ……なくなるといいのよ、黒き塔も四天王もウィザードも!! あの可哀想な魔法生物たちも!! ……狂ってるのよ、仕組みが、国のあり方がぁ! ……あたしたちが、いったい、なにしたっていうのよおぉぉっ……魔法を使えるようになったら、誰でも悪人ですってぇっ……どこまでバカにしてんの……そいつらはっ……!!!」 エドワード「…………。死ぬ前の、ウィリアムから教えてもらったんだ。……父さんは僕が強くなっていくのに悩み、苦しんでいた。……僕が母さんと戦うことになるかもしれないって、思ってたから……。母さんももちろん、そうだったろう。……その通りになったんだけどね。……僕もここで母さんと戦うんだ、となったとき……自分でも自分が、信じられなかったよ。……君が僕に会って驚いたのと同じさ。……ロジーナ、もういい、もういいんだ。君は生きてくれ、僕のことはもういい、君には生きてほしいんだ……」 ロジーナ「お、お願いだから、黙ってぇ……好きなあなたを死なせたくない! ……あたし、ウィザードになれたら、なれたら……あなたを訪ねようって考えてたのっ……そして、好きですって伝えたかった……な、なのに、それなのに、こ……こんなことって、ひどすぎるじゃないのぉっ! エドワード……好きよ、好きだから、あたしと生きてちょうだい……あなたが好きなの、本気で好きなんだって、 冗談で言ってるんじゃないのよぉ! あたしッ!!」 エドワード「…………。……ふ、ふふふ……そーか……僕も好きだよ、ロジーナ……。君が旅に出てしまってから、僕は君が好きなのに気付いた。……ふふふふ、僕たちは両想いだったんだね。…………こんな僕を愛してくれてるのか……そうか、そーか、それは、知らなかったなぁ……」 「……!!」  エドワードはロジーナの手首を握った。 「…………君へ……残りの魔力を送るから……それで僕を治してくれ。ロジーナ……二人で、どこかに隠れて暮らして……いつかは、お父さんとお母さんになるのもいいかもしれないな……」 ロジーナ「……エドワード……ぁぁあ、愛してるわ……」 エドワード「……うん、僕も……好きだ、好きだよ、ロジーナ……僕には、君が必要だ……助けてくれ……ロジーナ……」 ロジーナ「ええ。あたしに任せて。……好きよ、大好きよ、エドワード……」 エドワード「…………はぁ、ありがとう……誰かに好きって、言われたのは、初めてだ……嬉しいもの、だな…………」  崩れ落ちた黒き塔の残骸からはウィザードと挑戦者、そのどちらの遺体も発見されなかったため、両者は激烈な戦闘で肉体を失い、死亡したと認定された。  誰も寄り付かない場所へ隠棲したエドワードとロジーナの間には女の子と男の子が生まれ、エミリーとロバートと名付けられた。
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