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おわりとはじまり(2)
ロジーナ「……エドワード、なんてことッ!! あたしに倒されるためだったなんてぇ……どうして、な、なんて、悲しい……それが、それが、この国での、魔法使いを目指した、あたしたちの行き着く先、だなんてぇっ……」
エドワード「……うん、そう、その通りだ。……魔法使いというのはね、悪いものなんだよ。昔からこの国では……そう決めていた。王族や貴族、役人が起こした不祥事は……すべて魔法使いに操られたせいにされたし、疫病が発生しても、戦乱になっても、天災が国を襲っても、それらは全部、この国にいる魔法使いのせいと……されてきたんだ……」
ロジーナ「…………」
エドワード「それから……魔法使いを捕まえて、全員殺してしまうよりはこれを利用したほうが得策だ、と彼らは考えた。……だから、この塔を建てて、魔法使いになりたいと思った者、つまり……未来の犯罪者にできる者たちを作り出すため、育てることにした。……何があっても、そのとき、そのときに悪者にできる魔法使いがたくさんいれば、国の統治は続けられて、支配体制は安泰だということさ。……自発的に魔法を使いたいと思う人たちの存在は、こんな邪悪なことを考え出した彼らが責任回避をするのにぴったりで、都合が良かったんだよ……」
ロジーナ「…………」
エドワード「……頭がいいだろう、驚くよな。……自然に生じる人の知的好奇心を利用しているんだから。……黒き塔の四天王も、ウィザードも、次の適任者が現れるまでのつなぎ、なんだ。……塔にうごめいていた魔法生物、あれは国政に関与する貴族お抱えの錬金術師が、造り出した失敗作へ簡単な魔法が使用できるよう改良が施された生物さ。……僕ら、四天王やウィザードになった者が塔から逃げ出したら、僕らには反逆罪が適用されて、発見され次第すぐに処刑となってしまう。これは決まっている。……本来、手を取り合うべき魔法使いたちの戦闘が国内で許されているのを不思議に思ったことはないか? ……それはね、一方的に敵対して、仲間割れしてくれると、魔法使いを犯罪者にする……と決めた者たち、支配している側は嬉しいってことが、その背景にあるんだ……」
「…………」
相手の言葉に耳を傾けていたロジーナは動いた。
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