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おわりとはじまり(1)
黒き塔が崩落している。
ある部分は燃え、ある部分は凍り、ある部分は引き裂かれ、ある部分は溶け、ひび割れては崩れ果てた黒い瓦礫の山からは粉塵が舞い、黒煙が上がっていた。
「……っ……はぁ、はぁ、はっ……ぁ、あっ、はあ……はあ、ど、どうし、て……とどめをささない? ……い、今なら、どんなに威力の弱い魔法であっても……ぼ……僕を、倒せるぅだろう……っ……は、はっ……はぁ……はあ……もう、防御もできない、んだ……ょぅ……」
「……っ……ふぅ、ふぅ、はぅ……はっ、はぁ……そ……そんな、ことぉ、でき、なぁいぃ、わよ……ぉぅ……」
「は、はあ、な何故だ……ぼ……僕の息の根を、と止めろ……ゅ……ゆ、油断していたら、ぼ、僕が君へ不意打ちを、く食らわせるかも、しれないじゃないか……っ……」
「ど、どうして、そんなこと、はぁっ、ぃ言うの……ぁあなたは、そんなことし、しないわ……っ……わわ、わかるぅ、もの……」
「ん……?? ……ほら、み、見てみろ……ま……魔力を弾ける、もしくは吸い取れる、た、耐魔強化製黒輝岩でぇ、つ造られていた、この塔も……僕と君が、ぶつかりあった、ち、ちからの前では、むむ無力だった……耐えきれなかった、んだ……」
「…………」
「……ぁぁ、はぁ、はぁはぁ……ロジーナ……き……君の勝ちだ。……き……君には、間違いなく、ウィザードとしての、資格がある……っ……。本気で戦ったぁ、僕を倒したんだからぁ、む胸を張ってほしいぃ……き君は、僕よりも、強かったのだから……。さ、さあ、僕を倒せ……知ってるだろう? ぉ教えられたはずだ……ウィリアムから。……戦いを挑んできたものを、魔法で殺しても、殺人罪にはならない、というのを……っ……は、は〜〜〜……」
ロジーナ、と呼ばれた娘「……い、いや! 殺すなんて、できなぁい! ……ウソ言わないでぇ! はぁはぁ……エドワード、わかってたわ。……あ……あなたが、あたしを気遣って戦ってくれてた、のは……手心を加えていた……っ……ぁあなたは、全力じゃなかった……そ、そうでしょ?」
エドワード、と呼ばれた若い男「……ぁ……ああ。……はぁ〜〜〜〜……知ってたんだね。そう……そぅ、はぁ……そうだよ…………」
ロジーナ「…………」
エドワード「……ロジーナ、僕は……じ……自分の母さんを倒して、この塔の主となったんだ。……そう……ウィザードとしての地位を、手に入れた。……僕との戦闘で、はっ、はあ……重傷を負った、母さんが死んでから、父さんは、落ち込んでしまってねっ、弱っていって……き……君はわかってるだろうが、ウ、ウィリアムは、な……亡くなってしまった。……僕は……ウィザードとなったけど、何も楽しくない。お……親を殺してしまった、罪深い僕は……孤独だ。……は、はぁっ、はぁっ、ぁあるとき、君のことを聞かされた。……相当に君は、魔法使いとして強くなっている、とね。……逃れられない、運命に支配されているのを知った僕は……き、君になら、倒されてもいいと思った。……好きな君になら、ね。……ぼ、僕が、君をここで、待ってた理由はそれ、だ……」
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