転校生

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麻里絵と仲良くなったのは、この日直の日からだ。 麻里絵はいわゆる優等生で、転校してきて直ぐの試験でクラスでもトップ、学年でも5番以内には入っていた。 転校生の成績がいきなりトップになると、周りの生徒は普通、うぐぐ、となるものだが、麻里絵の持ち前の明るさと、何事も鼻にかけない謙虚さが幸いして、彼女が周りから浮く事は一度もなかった。 周りから浮くどころか、彼女は文化祭でも生徒会役員として学校やクラスのために貢献し、体育祭でも女子を引っ張るリーダー的存在になっていた。 これだけ出来過ぎる人だけれど他人から妬まれず、むしろ愛されるキャラクターは本当に生きた天使のようで、皆の憧れだった。 転校を繰り返していた彼女だったが、中学生活と高校受験は東京に帰らずに、私と同じ田舎で行う事となった。 私たちは無事中学を卒業した。 皆が卒業式終わりで泣いている中、麻里絵が終始笑顔だったのが印象に残っている。
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