転校生

卒業して15年。中学校の同窓会が行われると案内がきた。

あの日、急にやって来て急に消えた麻里絵の事を気にかけていた私は、迷わず"参加"の文字に丸をつけた。

15年ぶりに顔を合わせた面々は、とても大人になっていて落ち着いて見えた。
結婚組が半数。独身組が半数。
お腹に赤ちゃんがいる同級生もいた。

「おぅ、南風。鎌倉に住んでるんやって？」
「いいなぁ。都会やん。今度遊びに行ってもいい？」
「南風さんも結婚組かぁ。なんか焦っちゃうなぁ、わたし」

懐かしい空気感。
男女ともに仲の良いクラスだった。
人数が多いため、カラオケルームを幾部屋に分けて使用している。

楽しい時間が過ぎていくが、私の心の中は麻里絵でいっぱいだった。

この部屋に居ないんなら、別の部屋に居るのだろう、と初めは思っていた。
だから別の部屋を順番に覗いては麻里絵の姿を探した。

だが、麻里絵はどこにも居なかった。

欠席、したのかな・・・・。