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「白か黒かってね、その、ええっと。」
もごもごとはっきりしない先生を、助手くんが呆れた表情で見ている。仕方ないなあ、と助手くんが話を切り出す。
「藍さん、くれぐれも引かないでくださいね。いつもこんなくだらない話をしてるわけじゃないんで。」
「くだらないって、そんな。」
事件にくだらないもなにもないと思うのだが、違うのだろうか。
「白か黒かって、犯人かどうかじゃなくて女中さんの下着の色当てをしてたんですよ。」
「はあ?!」
今日一。なんならここに就職して一番の素っ頓狂な声をあげてしまった。
「女性の藍さんにこんな話を振るなんて、先生どうかしてますよ。だから、彼女いない歴イコール年齢なんですよ。」
「デリカシーがなかったね。ごめんね、藍さん。けど、助手くん一言余計だよ。」
先生が胸の前で手を合わせ、謝罪のポーズをする。
「先生も助手くんも、最っ低!!」
少しでも役に立ちたいと思った私がバカだったのかもしれない。
2人をキッと睨み、すたすたと別荘を出て車の運転席に乗り込む。
車外から「待って~」と2人の情けない声が聞こえた。
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